様々な職種がある中で、最も多くの人に聞き馴染みがあるのが「営業」ではないでしょうか。とはいえ、どんな仕事なのか具体的にはわからない部分も多いかもしれません。そこで今回は営業職とはどんな職種なのか、年収やどんな人に向いているかなどをご紹介していきます。
「営業」とは?販売とはここが違う!
営業とは、会社の利益を確保するために商品やサービスを提案し、顧客を獲得する仕事です。販売と混同される場合があるのですが、後者はすでに獲得している顧客に対して購入のサポートを行いますので、そこに明確な違いがあります。
営業が向いているのはこんな人
営業に向いている人はどんな人なのでしょうか。主に以下の傾向にある人は、営業に向いているとされています。
①コミュニケーション能力の高い人
営業にとって「コミュニケーション」は欠かせないスキルです。日々クライアントはもちろん、社内の関係者など様々な人とコミュニケーションをとりながら業務を行っていきますので、人と接することが得意で、会話をすることが好きな人であれば営業の業務に適性がある可能性があります。
②努力し続けることができる人
営業はうまくいかなくとも、粘り強くあきらめずに取り組む気持ちが大事になります。心折れずに最後まで努力し続ける力があると、より営業に向いているかもしれません。
③成長意欲や向上心、チャレンジができる人
営業は、時に顧客にライバル会社と比べられたり、競わなければいけない場面があります。その時にもし負けてしまっても「仕方ない」で済まさずに、どうやったらより良い提案ができるか、を考えることができる成長意欲や向上心があることが営業には求められます。
④相手の立場に立って物事を考えられる人
顧客に商品やサービスを提案する上では、相手のどこに課題があるのかを見極める必要があります。その際に求められるのが、その人の立場に立って物事を考えられるスキルです。普段から人の気持ちに寄り添えられる人は、営業でもその素質を活かして仕事ができるかもしれません。
営業職のメリットとは?
続いて営業職に就くメリットについてご紹介します。
①高収入を目指せる
営業職が高収入を目指せると言われる所以は、インセンティブの存在です。インセンティブとは、社員の個々の成果に応じて給料以外に報奨金を出す制度のことを指し、これがあると成果を出せば出すほど対価を得ることができる仕組みになっています。またインセンティブがなかったとしても、成果が定量的にわかりやすい職種のため、会社によっては昇給や昇格をしやすいこともあります。
②貢献実感がある
営業は会社の利益に直結する仕事ですので、自分の頑張りが数字となって表れやすく、そういった面でやりがいを感じる部分も大きいでしょう。また、自分が提案した商品やサービスで顧客の課題が解決されることを直に感じることもできるので、その点も貢献実感を得られるポイントになります。
③職種としての需要が高い
営業という職種を持つ企業も多いですし、労働人口の減少により人手も少なくなっていることもあいまって、職種としての需要が高いのも営業の魅力です。また、営業は仕事を通して様々なスキルを身につけることができますので、万が一職種転換する場合でも、その経験を活かして働くことができるでしょう。
営業職の平均年収は約540万円
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」(2021年)に掲載されている営業職を多く持つとされる「自動車業界」「機械器具等の業界」「金融業界」「保健業界」「その他の営業職従事者」の平均年収より算出すると、営業職全体の平均年収は、約540万円となっています。国税庁「令和3年分民間給与実態統計調査」によると、2021年の1年を通して働いた日本人の平均年収は443万円とされていますので、それに比べると営業職の年収は高い方と言えるでしょう。
営業の種類
営業と一言で言えど、その種類は様々あります。種類別にそれぞれの特徴をご紹介しましょう。
①開拓方法別
・新規開拓営業/アウトバウンド営業
企業が売上を伸ばしてさらに成長していくためには、既存の顧客だけではなく、新たな顧客を増やしていかなければなりません。新規開拓営業とは、文字通り、「新たな取引先を開拓していくための営業」をいいます。
・ルート営業
すでに取引をしている企業や個人に対して、さらなる営業をかけるのがルート営業(ルートセールス)です。御用聞き営業とも呼ばれており、納品の際に新商品の情報を提供したり、ほかのニーズや課題がないか確認したりすることによって新たな契約につなげていきます。新規顧客を紹介してもらえる場合もあるため、日頃から連絡を密にして関係性を良好にしておくことが大切です。
・反響営業/インバウンド営業
反響営業とは、インターネット、テレビ、ラジオ、新聞やダイレクトメールなどのメディアを通して広告宣伝をし、それに興味を抱いて問い合わせをしてきた人を見込み客とみなす営業方法です。商品やサービスのターゲットを事前にリサーチして、広告戦略と連動させると高い効果が期待できます。ターゲットを絞ってから営業をするので、ほかの営業方法に比べて成約までの営業活動を効率化できる点がメリットです。
・カウンターセールス
店舗の窓口であるカウンターに来店した顧客に対し、商品の案内や提案を行って販売につなげる営業手法がカウンターセールスです。この場合、顧客はすでに商品やサービスについて見聞きしていることが大半であることから、反響営業の要素も含まれます。顧客と真摯に向き合い、的確に要望を汲み取って一人ひとりに最適な提案を行うコミュニケーションスキルが求められます。携帯電話ショップや旅行代理店などはカウンターセールスの活躍により成立する業界といえるでしょう。
②営業対象(顧客)別
・個人向け営業(BtoCセールス)
主に、一般消費者や家庭を対象として営業活動を行うのが個人営業です。商材は有形・無形どちらもあり、対象となる商材は例えば自動車や保険、不動産、ネット回線などです。
個人営業では、営業相手となる個人の判断が購入の決め手となります。そのため、個人営業職には、営業相手と信頼関係を築くためのコミュニケーションスキルや人柄の良さが求められます。
・法人向け営業(BtoBセールス)
法人営業は、企業を対象として営業活動を行います。取り扱っているのは、自動車や電化製品といった有形商材のほか、企業保険や広告、求人情報などの人材系商材、IT関連や金融関連の商材など、無形商材も多いです。
中小企業から大企業まで幅広い法人が顧客となりますが、企業保険や大規模なシステムのようなスケールの大きな商材の営業の場合、経営者層への営業活動を行うことになります。
③対象商材別
・無形商材営業
無形商材とは、物質的ではない商材のことです。サービスや情報、金融商品の他、人材派遣や人材教育なども無形商材に分類されます。
・有形商材営業
無形商材の対義語が有形商材です。日用品や家電、衣類、不動産など、形のある商材はすべて有形商材に該当します。
④役割別
・インサイドセールス(IS)
インサイドセールスとは、見込み顧客に対し、電話やメール、Web会議システムなどを用いて営業活動をする手法です。営業職は外勤が基本ですが、インサイドセールスは顧客と直接会うことがなく、時間や場所にしばられない営業活動ができるため、働き方改革や営業組織の生産性向上のため、導入する企業も増えてきています。
・フィールドセールス フィールドセールスとは、顧客と直接商談し、ニーズを顕在化させて自社の商品やサービスの受注を獲得する仕事です。フィールドセールスの役割は、マーケティング部門が獲得しインサイドセールスが育成したリードを成約に導くことにあります。複数の部門を渡って確度が高まったリードは最終的にフィールドセールスによって受注へとつなげられるため、売上に直結する重要なポジションです。
・カスタマーサクセス(CS)
カスタマーサクセスとは、既に自社の商品やサービスを利用している顧客の課題や問題を解決するために、新たな提案を行うことで顧客満足度を向上させ、さらなる売上獲得や契約の継続につなげる活動を行います。
・代理店営業
代理店営業とは、自社製品を販売してくれる代理店の開拓やサポートをする仕事です。営業職は自分が直接、エンドユーザーに商品を販売するのが基本ですが、代理店営業では企業に変わって代理店がエンドユーザーに商品を提案します。
代理店の多くは通常、複数の企業の商品を扱っているため、代理店営業職は代理店側との関係を密にし、販促ツールや商品ノウハウの提供などを行って、自社商品を多く販売してもらえるようにしなければなりません。
・プロダクト営業
プロダクトセールスは、自社の商品やサービスの魅力を顧客に売り込む営業手法です。
競合する商品の中から自社商品を選んでもらうために、魅力をアピールして顧客の獲得を目指します。
当然、自社の製品を深く理解しておかねばなりませんし、相手のニーズを読み取ってプレゼンテーションする能力も必要です。
・アカウント営業/ソリューション営業
アカウント営業とは、顧客の組織や事業について広く深く情報収集したうえで課題を聞き出し、それを解決するためのソリューションを提案していく営業方法です。顧客との信頼関係を醸成し、包括的な提案が求められます。
以上、営業職とはどんな職種なのかというところから、年収やどんな人に向いているかなどをご紹介しました。ぜひ参考にしてみてください。